9月定例会 |
| 議案番号 | 内容 | 審議結果 |
|---|---|---|
| 意見1号 |
えん罪は、国家による最大の人権侵害の一つである。えん罪被害者の人権救済は、人権国家を標ぼうするわが国にとってはもちろん、地域住民の人権を護る義務を有する地方自治体にとって も重要な課題といえる。ところで、えん罪被害者を救済するための制度としては、「再審」がある。しかし、その手続を定めた法律(刑事訴訟法第四編「再審」)には、再審請求手続の審理のあ り方に関する規定がほとんどなく、裁判所の広範な裁量に委ねられている。このように、いわば「再審のルール」が存在しない状態となっているため、再審請求手続の審理の適正さが制度的に 担保されず、公平性も損なわれている。その中でも、とりわけ再審における証拠開示の問題は重要である。過去の多くのえん罪事件では、警察や検察庁といった捜査機関の手元にある証拠が再 審段階で明らかになって、それがえん罪被害者を救済するための大きな原動力となっている。したがって、えん罪被害者を救済するためには、捜査機関の手元にある証拠を利用できるよう、こ れを開示させる仕組みが必要であるが、現行法にはそのことを定めた明文の規定が存在せず、再審請求手続において証拠開示がなされる制度的保障はない。そのため、裁判官や検察官の対応い かんで、証拠開示の範囲に大きな差が生じているのが実情であって、このような格差を是正するためには、証拠開示のルールを定めた法律の制定が不可欠である。しかも、再審開始決定がなさ れても、検察官がこれに不服申立てを行う事例が相次いでおり、えん罪被害者の速やかな救済が妨げられている。しかし、再審開始決定は、裁判をやり直すことを決定するにとどまり、有罪・ 無罪の裁判は再審公判において行う事が予定されており、そこでは検察官にも有罪立証をする機会が与えられている。したがって、再審開始決定がなされたのであれば、速やかに再審公判に移 行すべきであって、再審開始決定という、いわば中間的な判断に対して検察官の不服申立てを認めるべきではない。こうした観点から、国会及び政府においては、えん罪被害者を一刻も早く救 済するために、再審法の速やかな改正が図られるよう下記について強く要請する。 1 再審法請求手続における手続規定の整備 2 再審法請求手続における証拠開示の制度化 3 再審開始決定に対する検察官による不服申立ての禁止 提出先 衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、法務大臣 備 考 地元選出国会議員には、同趣旨の陳情書を提出する。 |
原案可決 |
| 意見2号 |
我が国では、農業の持続可能性を維持することが急速に困難になっており、この10年で基幹的農業従事者が3割も減少し、令和4年度の食料自給率は、カロリーベースで38%と、主要7か国 の中で最も低い水準です。また、都道府県別では、東京都が0%、大阪府が1%といった状況となっています。こうした中、農業所得に占める政府補助の割合は、ドイツが77%、フランスが 64%である一方、日本は30%と、これらの国の半分以下の状況です。急激な円安等により、物流費をはじめ、飼料、肥料、資材、燃油等の価格の高騰が、食料供給体制に重大な影響をもたらし ており、国民の食料を守るためにも、価格抑制の緊急対策が必要です。また、昨年8月には、主食である米が店先から消え、流通業者や消費者に深刻な混乱と不安が広がりました。政府は需要 に応じた生産の名の下、米の消費が毎年減ることを前提に生産量の削減を現場に求め、需給と価格については市場任せにしてきました。しかし、気象条件によって生産量に増減があることや、 社会・経済情勢の変化によって需要と供給にギャップが生まれることは避けられることではありません。将来にわたって米の安定供給を確保するためには、価格保障や所得補償などで農家が安 心して米作りに励むことができる条件を、国の責任において整えることが不可欠です。よって、政府は、下記の措置を講じるよう強く求めます。 1 飼料、肥料、資材、燃油等の価格高騰を抑制するなどの緊急対策を実施する こと。 2 食料自給率の目標を定め、その向上を追求すること。 3 価格保障、所得補償の充実をはじめ、農業、酪農、畜産、漁業への支援を抜本的に強化すること。 提出先 衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、農林水産大臣、内閣官房長官 備 考 地元選出国会議員には、同趣旨の陳情書を提出する。 |
原案可決 |